窓ガラスは毎日目にするものですが、買い替えとなると選び方に迷う方も多いでしょう。特に、防音や断熱の効果を持つガラスにはいくつかの種類があり、それぞれの特徴を知らないと選ぶのが難しくなります。
そこで、この記事ではそれぞれの効果や、種類ごとの違いについて分かりやすく解説します。どのタイプが自分の暮らしに合っているのかを知り、より快適な生活を手に入れてみてはいかがでしょうか。
標準的な窓ガラスの種類5つ
まずは、住宅でよく使われている標準的な窓ガラスの種類を5つご紹介します。ご自身の家の種類がわからない場合は、ぜひ参考にしてみてください。
フロートガラス
フロートガラスは、透明で表面のなめらかさが特徴です。ゆがみが少なく、光を取り込みやすいので、これまで多くの住宅で使われてきました。シンプルで定番のものですが、最近では断熱性が重視されるようになり、新築の住宅ではあまり使われなくなっています。それでも、採光性や見通しの良さを求める場面では、引き続き選ばれることがあります。
型板ガラス
型板ガラスは、片面に模様がついていて、光をしっかり通しながらも視界を適度に遮るのが特徴です。明るさを保ちながら外からの目を気にせずに済むため、洗面所や浴室など、プライバシーを重視したい場所でよく使われています。透けすぎない安心感がありつつ、部屋を暗くしない点が多くの家庭で選ばれる理由です。
すりガラス
すりガラスは、片面を細かく磨いて不透明にしたガラスです。光を通しながらも視界を遮る特徴があり、型板と同じようにプライバシーを守る効果があります。ただし、水に濡れると透けやすくなるため、屋外ではなく室内で使われることが多いです。特に間仕切りやドアの一部に使われ、空間を明るく保ちながら目隠しの役割も果たしています。
フロストガラス
フロストガラスは、片面に特殊な加工を施し、乳白色で半透明の見た目が特徴です。触り心地が滑らかで、手垢などの汚れがつきにくい利点があります。型板ガラスやすりガラスよりもプライバシーを守る効果が高く、光を柔らかく通すため、室内を明るく保ちながら視線を遮ることができます。
ただし、水に濡れると透ける性質があるため、使用場所には注意が必要です。また、見た目の美しさや機能性の高さから、他のものに比べて価格がやや高めなのが特徴です。デザイン性と機能性を求める場面で選ばれています。
網入りガラス
網入りガラスは、中に金網が組み込まれたもので、主に飛び散りを防ぐことが目的です。透明なものと模様が入ったものがあり、一般的にはひし形の金網が使用されています。他にも縦型や四角形の金網タイプがあります。
防火性能が高く、火災時にひび割れが生じても、破片が金網に引っ掛かるため、飛び散りや崩れ落ちを防ぐ効果もあるのです。そのため、飲食店やガソリンスタンドなどでは必須とされています。ただし、金網が入っていても割れにくいわけではなく、通常のものと強度は変わらないため過信しないよう注意が必要です。
断熱性の高い窓ガラスの種類
断熱性の高い窓ガラスは、以下の3種類です。それぞれの特徴を説明します。
ペアガラス
複層ガラスは、ガラスを何層か重ねたもので、特に2枚を重ねたものはペアガラスと呼ばれます。2枚の間に空気の層を作ることで、断熱性を高める仕組みです。断熱効果がありながら比較的手頃な価格で、取り入れやすいことから、多くの家庭で使われています。
さらに性能を高めたものには、空気層を真空にしたり、アルゴンガスを封入したタイプがあります。これにより断熱性が向上しますが、その分価格も高くなります。手軽に断熱性を上げたい方には、ペアガラスが選ばれることが多いです。
トリプルガラス
トリプルガラスは、3枚使用した複層ガラスで、ペアガラスよりも断熱性が高いのが特徴です。ガラスと空気の層が増えることで、遮音効果も向上し、防犯性も高まります。そのため、寒い地域や静けさを求める場所に適しています。
ただし、3枚分使用しているため、窓自体の重さや厚みが増します。特に頻繁に開け閉めする窓や大きな窓では、操作性をしっかり確認しておくことが重要です。また、価格も他に比べて高めなので、予算と必要性をよく考えて導入を検討すると良いでしょう。
Low-Eガラス
近年、断熱性能の高さで注目されているのがLow-Eガラスです。これは、ペアやトリプルガラスの内側に特殊な金属膜をコーティングしたもので、太陽の熱や室内の熱を反射・吸収する効果があります。そのため、さらに優れた断熱性を実現することが可能です。
Low-Eガラスには、枚数に応じて「Low-Eペアガラス」と「Low-Eトリプルガラス」があり、枚数が多いほど断熱性能が高まります。また、断熱性を重視したタイプと遮熱性を重視したタイプの2種類があり、コーティングをどちら側にするかで効果が異なります。自分の生活環境に合わせた選び方をすることが重要です。
防音性の高いガラスの種類
防音ガラスの種類は以下の3種類です。それぞれの特徴を説明します。
合わせガラス
このガラスは、2枚のガラスの間に防音効果のあるフィルムを挟んで圧着したものです。フィルムが音の振動を熱に変えることで、特定の音域で防音効果が下がる現象(コインシデンス効果)を抑えます。そのため、幅広い音域で安定した防音性能を発揮します。ただし、すべての音域で防音効果が増すわけではありません。
さらに、安全性と防犯性にも優れています。内部にフィルムを挟んでいるため、強い衝撃が加わっても割れにくく、割れた場合でも破片が飛び散りにくいのが特徴です。これにより、防音だけでなく安全面でも安心して使用できます。
二重窓
二重窓は、既存の窓の内側に新しい窓を取り付けるもので、内窓とも呼ばれます。簡単に言うと、窓を二重にすることで防音や断熱などの効果を高める仕組みです。ただし、防音ガラスそのものではなく、窓の構造を工夫したものとなります。
特徴的なのは、外側の窓と内側の窓の間にできる空気の層です。この層が音の伝わりを遮断し、防音効果を発揮します。また、外側と内側の窓の厚みを変えることで特定の音域で効果が下がる現象を防げます。さらに、気密性が向上し、音漏れも抑えられる点がポイントです。
加えて、空気の層は熱を遮る働きもあり、断熱性能の向上にもつながります。
複層ガラス
複層ガラスは、2枚のガラスの間に空間を設けた構造で、この空間を中空層と呼びます。本来は断熱を目的に開発されたもので、1枚よりも防音性が高いと思われがちですが、一概にそうとは言えません。
中空層の空気が音の振動を伝えやすくするため、特定の周波数で音が抜けやすくなる共鳴透過が起きることがあります。この現象を防ぐには、外側と内側で厚みを変える工夫が有効です。また、中空層を真空にした製品は防音効果を高めています。
防音性能は製品によって異なるため、特徴をよく理解し、自分の目的に合ったものを選ぶことが大切です。
まとめ
窓ガラスには、一般的なものから、断熱性や防音性を重視したもの、強度に優れたものまでさまざまな種類があります。どこに使用するか、何を重視するかによって適切なものを選ぶことが大切です。
暮らしの中での困りごとや希望は、ガラスを工夫することで解決できる場合が多くあります。生活環境に合わせて、最適なガラスを選び、快適な住まいを目指してみましょう。